東大フランス語差し替え受験とは

あれれです。

早稲田大学での仮面浪人を経て、一浪で東京大学文科一類に入学します。

ところで、皆さんは本来こんな駄文を読む必要はないので、他人の自分語りを目に入れたくない方々は冒頭の目次から飛んじゃってください。

さて…

きっとこの記事が読まれているということは、ツイッターから来ていただけたか、または東大外国語差替え受験に興味がある、ないしそれに向けて情報を収集している…かはわからないですけれど、俺はそんなこと知りませんので、まあよくありがちな受験を終えた暇人(特に東大受験者に顕著)がすなるニヤニヤの自分語りブログを俺もせんとて、完全な自己満足で書きたいと思います。

書くに至る動機というか、まあ建前なんですけど、自分が情報収集の際に感じたこととして、あまりの情報の少なさに驚いたということがあります。

さて、自己紹介をば…

現役で東大に落ち、渋々入学した早稲田でどんな苦渋を…いや、どうでもいい。実際苦渋とか大してない。早稲田楽しかったしね。とにかく第二外国語はロシア語を選択しました。その頃は差替え2外を自分が受験するなんて想像だにしていなかったので、興味のある言語を選択したのです(ロシア語とスペイン語は数年前に差替えから消えてしまった)…。

自分語り長くね?

三行で言いたいことをまとめます。
早稲田ではロシア語選択。9月末に気が狂ってフランス語をやり出す。単語や文法、語法を覚える。全然解けん。頑張った。本番取れた。受かった。

や、あなたが御覧のデバイスでは三行じゃないかもしれないが、おれが今見ている端末では三行なのでそれでいいのです。閑話休題

差替え受験を決意した当時、俺の見つけた仏語差替えに関する情報は、なんかめっちゃ強い仏検二級持ちの仮面浪人によるブログただ1つだったのですけれども、いやそれでもかなり有用ではあったのですけれども、まあ情報は多い方がいいだろうということで、なんとなく書き綴っているというわけです。

P.S. 今調べたらいくつか出てきました、差替え仏語についてのサイト。仮面浪人はググることもできないのか…俺だけか。はぁ。

このブログは題名の通りフランス語差替え受験について綴るわけなのですが、ある程度他の外国語受験についての情報もなくはないので、それも書ければいいのかな。冗長。

そういえば最近6浪?理三合格者が差替えはやめとけみたいに言ってましたけど、まあ離散は色々あるのでしょう。付け焼き刃はやめようね、的な教訓にするのがよさげ。

さて、本題に入りますが、初めに基本情報を確認しておきます。

1. 第二外国語差替えとは?

東大外国語を英語で受験する場合、大問4、5で他の外国語(中国語・韓国朝鮮語・ドイツ語・フランス語のいずれか1つ)を選択することができます。当然、英語に比べてクソ簡単です。俺は2020年の受験でフランス語を20分で終わらせたので、外国語でかなりアドを取れた(リスニングボロカスだったとはいえ。)のです。

P.S.開示が届いたので外国語のところだけ。去年はリスニング18点で62点、今年はリスニング12点で84点なので、リスニングを除けば得点率は48%→80%になっています(しかもリスニングの前読みには去年の5分に対し10分を費やしたんだが…)。
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英語は例年大問4が文法と和訳、5が小説の長文となっていますが、これらを20分で満点近く取ってしまうのはバケモノですよね。それができる人は当然差替えなんて概念は無視して数学や地歴・理科をやるべきだと思います。

例えば俺の場合、英語の大問4と5で40分はかかってしまう上、点数は半分が関の山です。そんなんで受けた現役は英語62点。お前本当に文系かよ。そりゃ落ちるわ。当たり前。

それに対して差替え2外は、例年大問4が和訳、大問5が文法問題(形式は様々で基本は5問だが、韓国語だけは8問)。和訳の単語レベルが検定2級レベルなのを除くと、3級レベルを完璧にこなせば8~9割はくるというくらいの難易度(バリバリ主観)です。

実際のところ中国語と韓国語は比較的難しい(日本から近くてネイティブが多いからね。韓国語とか見るからに量がおかしい)らしいので、初学者はドイツ語かフランス語を選択するのがデフォルトのようです。

また、ドイツ語とフランス語で比べてもドイツ語が圧倒的なイメージです。理由は知りません。ドイツ語未履修だし。シュヴァルツェスマーケンしか知らねえよ、オタクなので。

ちなみに俺がフランス語を選んだ理由は適当です。ドイツ語との二者択一で、なんかエレガントそうだと思ったから。あぁ、そう、フランス語の "r" の発音を知るまでは、ね………。

あああああ自分語り多すぎる!

とりあえずこのブログはフランス語差替えについて書くもの…今のところはそういうことになっています…なので、フランス語の話をしたい…もうちょいでできるはず。頑張ろう。

どのような人が差替えに向くかというと、
・そこそこ英語力はあるはずだが時間が足りない
・暗記は得意だが英語は嫌い
・色々な国の文化に触れるのが好き
・東大に受かるためならどんな努力もできる。ただし英語、テメーはダメだ
・なぜか高校で第二外国語を履修させられている
・なぜか大学生なのに大学受験をしている
などなど。まあ最後は存在しないと思いますが。とにかく基本は英語のディスアドを合法チートでも使ってアドに変えてしまおう!ということです。

2. 差替えするうえで不可欠なこと

大切なことは3つ。
①過去問をなんとしてもゲットする。
②ほかの教科を疎かにしないよう勉強する。
③ガチで無理だと思ったら即諦める。

①、これは必須です。理由はいくつかありますが、1番大きいのは、過去の問題がほとんど変えられずに出る場合があるためです。

そもそも3級レベルの文法・語法って、全然量がないんです。本気を出せば2週間で全部自習できます。こんな内容に1年もかけている早稲田大学さん…wともかく、その程度の内容を試験問題でどう捻ろうというのでしょう(例えば、フランス語では話法や接続法のいずれかがほぼ毎年出ています)。

差替え受験を決意したら、その勢いで国会図書館に行き、会員登録を済ませ、東大新聞の印刷をしましょう。何年度からあるかは知りませんが、何十年分もあります。俺は15年分印刷しましたが、もっとあってもいいと思います。差替えではなく、全ての試験問題が英語以外の言語である外国語試験の大問4、5も形式が同じなので、それも入手すべきです(問題が被る場合もありますが)。

過去問の解き方等は人それぞれだと思います。俺は一通り知識を詰め込んでからやってみましたが、最初のうちはまあ解けませんでした。何度も繰り返しているうちにミスも減り、基本も定着するので、焦らずやるのがいいと思います。

続いて、②です。これも非常に重要です。

特に第二外国語を初学する場合、勉強時間のほとんどをそれに吸われてしまうというデメリットがあります。俺はこれに引っかかり、本番の数学がえらいことになってしまいました(2020年は数学が難化したことも重なった。これが幸と不幸のどちらに転んだのかは分からない)。

もちろん夏以前の勉強は偏ってもいいと思いますが、受験が近付くにつれ、バランスのよい勉強をした方が本番の事故を防げると俺は考えています。

③です。これは最も重要です。

結局のところ、目的は東大に合格することです。無理そうなら教養が付いたと思って諦めましょう。大丈夫、フランス語やドイツ語なら英語の学習にも活きてくるだろうよ。知らんけど。

3.フランス語を選ぶとどうなっちゃうの?

さて、ようやくフランス語の話に入っていけそうです。

まずフランス語とはどのような言語か?ということですが、別に俺はフランスをこよなく愛する妄想パリジャン(パリジェンヌ?)というわけではないので、ポジキャンするわけではないですけれども…

文法は非常に英語と似ています。英語の法則の7割はフランス語にも当てはまると考えて構いません。

また、文字もほぼ同じです。最初のうちは微妙に違うやつら(é, è, û, ï, ç, œなど)に戸惑うかもしれませんが、だいたい規則性があるので慣れましょう。

単語も英語と似ているものが多いです(prefer←préférer, beautiful←beau など)。この理由は歴史を学べば分かりますね。ただし、基本的な単語は全く異なることがほとんどです。

発音は全然違います。ただし試験問題にリスニングやスピーキングはないので、ここでは省略します。

このように、フランス語は英語に似ている部分が多いため、取り掛かりやすい言語だとは言えます。

ただし、名詞が男女で分かれたり(ロシア語は男女+中性で分かれていたので、個人的には苦ではなかった)、それらによって動詞や形容詞が変化したりするところは英語と異なるので、注意が必要です。

そうは言っても、基本的にフランス語は規則通りにことが進む言語ですから、しっかりそれを覚えていけば苦にはならないと思います。

4.学校などで第二外国語を学ぶ環境がある場合

実際のところ、俺はフランス語を完全に自学したというわけではないです。

早稲田大学では、後期から半年間でフランス語をサッと齧ろうという授業がありました。内容は、初級文法の重要で簡単なところをさらうというもので、発音の勉強や文法の復習には役に立ちました。あと4単位ありがとうございました。退学したけど。

とはいえ、そんなペースでやっていたら、仏検3級レベルどころか4級にも達するかどうか。結局独学が最も重要な要素になってきます。

あるいは、そのような環境がある仮面浪人ならば、和訳の添削や質問などに講師を利用できると思うので、積極的に授業をとってみるのがいいと思います。俺はやらんかったけど。

5.勉強計画

俺のものを一例にあげますが、10月から始めたということもありかなりキツくなったので、そのあたりは自分の状況と相談して決めていただいたらいいのかなあと思います。

俺の勉強スパンですが、
9月末…差替え受験を思いつく。フランス語の授業を履修登録
10月…勉強開始。色々参考書を買ってみて、初級文法を暗記。単語を2500語ほど暗記(実際、3000語程度覚え、練習を繰り返せば和訳はほぼ問題なくこなせると思います。詳しくは後述)。
11月…冠模試があったため、世界史や数学の勉強を主に頑張る。フランス語は中だるみ。
12月…センター試験の対策に気が向かないと思いながら、単語や文法を復習。過去問を解き出すが、ポロポロ間違える。危機感が芽ばえる。
1月…センター試験まではその対策。その後、過去問を本格的に解き始めるが熟語や語法の対策がガバガバだとようやく認識。仏検2~3級レベルの熟語帳と仏文和訳の本を購入。
2月…日本史、世界史、古典の記述対策に追われる。勉強計画立てるの下手すぎでは。英語は大学でやっていたのでそこそこ保てていたが、数学は時間がかかるので諦めていた。その結果がグロ画像となって現れたのはいいとして、フランス語は総復習。なんとか間に合った。

こんな感じでした。

反省点としては、過去問に取り掛かる時期が遅すぎました。結局一番大切なのは、他教科との兼ね合いだと感じます。始めたのも遅すぎるので致し方ないとは思いますが…。フランス語に関してはセンター前に過去問が7-8割安定する程度の力をつけておければ、もう心配はないと思います。まあセンターなくなるんですけど。

6.傾向と対策

前述の通り、出題形式は例年第4問が仏文和訳、第5問が文法問題になっています。

第4問の仏文和訳ですが、ここで満点を取るのはおそらく不可能です。取れる方は全仏受験しましょう。

というのは、近年明らかに無理ゲーな語彙が登場するようになったためです(2015 susciter 喚起する、2017 trompe 象の鼻、 noix ココナッツの実、2018 ermite 隠遁 など)。

ただし、多少語彙がわからなかったからといって大量減点になるようなこともないと思います。なぜなら、帰国子女だったり、圧倒的な語学強者だったりはしない20歳前後の人間が第2外国語で綺麗な訳出をすることは明らかに不可能なそれだからです。

また、採点官も受験者が第3外国語を受験科目にしなければならないような事情を抱えていることを哀れに思しめすのか、稚拙な訳にもちゃんと点をくれるようです(くれなきゃ受験者全員が差替えはやめとけbotになってるべ)。

そうはいっても、日本語になっていないような訳では点がほとんど入らないでしょう。文構造は簡単なので、基本的な事項をしっかり訳出し、高レベルな語彙や表現に直面した場合は努力の痕跡をアピールするくらいにすれば、まず8割は入るはずです。

対策として、単語の語彙を豊かにすることも重要ですが、成句や前置詞などの細かいところにも気を配って学習する必要があります(詳細は後述)。

ちなみに、動詞の"単純過去"は一切出ないので、活用を覚える必要はないです。

単語は2級レベルまで、ざっと2500~3000語ほどを詰め込めば十分戦えます。なかなか負担は大きいですが、差替えで1番キツい上に時間がかかるのがここなので、これを乗り越えればなんとかなります。

俺は仏和辞典の赤字(5000語ほどか。英語から推測できるもの、動詞から推測できる名詞などを除いて2500語ほどになる)をひたすら単語アプリに登録して暇な時間にソシャゲの要領で周回していましたが、これはなかなか効率が悪かったなあと思います。

その代わり、市販の単語帳を使った方がよいと思います。それも、評論文を読むのに特化した小難しいものではなく、日常で必要な単語を集めたものの方がよさげです。なぜなら和訳問題は随筆が多く出題されるので、生活や風景、心情などの描写を訳すことが多いためです。

成句などについては、第5問の対策とともに行ったので、詳しくはそちらで述べたいと思いますが、基本的に3級レベルで十分です。それは仏検対策用の熟語帳で問題なく対応できると思います。

語彙を増やしたら、まずは和訳に慣れましょう。俺は、フランスでもっとも知名度の高い新聞である"Le monde"を辞書片手に訳していました。そこまで難しい語彙は出てこないことが多かったので、かなり練習になったのかなという感じです。

その後過去問を解くわけですが、やはり辞書だけではどうしてもわからないところが出てきます。

その場合、"HiNative"というサイトを利用すると非常に便利です。これは質問アプリなのですが、質問をすると各国のネイティブがすぐに答えてくれるので、時間の面でも信憑性の面でも安心です(英作文の添削なんかにも使える。なんでこんな神アプリが存在空気なんだ…?)。

和訳にある程度慣れたら、仏文和訳についての本を1冊購入してやってみるといいかもしれません。まあそのへんは基本の定着具合と相談してやっていけばいいと思います。

続いては、第5問について。

第5問は文法問題ですが、ここでは満点が取れます(たまに変な問題が出るが、それでも4問は取りたい)。さらに、慣れれば5分程度で片付きます。差替えのメリットはここに詰まっているといっても過言ではありません。

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上の写真は、2004年~2019年の東大外国語仏語差替えの第5問を分析したものです。

このように、軸となるのは基本的な文法事項、成句、前置詞の問題です。

第5問では文法を一通り抑えること(接続法、話法、ジェロンディフ、仮定法、態の変換、命令法、関係詞、比較など幅広く出題される)はもちろん、基本的な成句・構文(仏検3級レベルまでやれば十分だろう。特に接続法を導く接続句が頻出)、動詞・前置詞の語法(活用)、簡単な単語のスペルなども覚えなければなりません。

ですが、単語を何千語も覚える労力に比べればこちらの方が楽でしょう。また、慣れれば安定した得点が見込めるので、それまで我慢して勉強できるかが鍵になると思います。

また、これらは文法書と仏検3級・4級対策用の熟語帳などを利用すればだいたい問題ないです。

7.参考書等

さすがは英語に次ぐ世界の公用語ですから、フランス語の学習教材は様々なものがあるので、俺が知らないようなものも手に取ってもらえるといいと思いますが、一応ひとつの例として。

まず必須なのは、辞書・文法書・過去問の3点です。

辞書は…まあなんでもいいんじゃないすかね。俺はプログレッシブ仏和辞典を利用していました。

文法書は、俺は早稲田で得た教材の他に、リュミエールを利用しました。これも様々なものが巷には溢れていますが、なんでもいいと思います。

これらに加え、単語帳・熟語帳・問題集などもあるとよいでしょう。

単語帳は、俺は辞書の赤字を覚えていましたが、キクタンの他に仏検対策のものや、"フランス語の基本単語集"(日常の単語が多い)など、自分の語彙力と相談して選んでいくのがいいと思います。

熟語帳に関しては、ある程度仕上がったあたりで取り組むのがいいと思います。俺が使っていたのは"フランス語重要表現・熟語帳"(2級レベルまでの記載があるが、3級レベルのページまでのみ暗記)でしたが、差替えについてはそれで事足りました。

問題集は、文法事項の定着に"フランス頭の基本を作る重要問題集"を用いていました。また、前述の熟語帳には問題が小さくついているので、熟語に関してはそれを利用しました。

問題集について、必要のない方が無理に用いる必要はないと思うので、過去問のみで大丈夫だという方は自分の信条に従いましょう。

動詞の活用については、まあなかなか厄介なところではありますが、基本ゆえに辞書の後ろのページに必ず載っていますし、サイトやアプリにもたくさん教材があります。また、文法の学習を進めるに従ってある程度は覚えてくると思うので、そこまで負担に思う必要はないです。

8.終わりに

"初めに"がないのに"終わりに"はあるのかよという感じですが…長かったな。東大受験者だって限られている中で、2外差替え、さらにそこでフランス語を選ぶのはかなりのマイノリティだと思いますが、ニッチな分野だからこそ情報も少なく、少しはお役に立てたんじゃないかなあなどと思いながら自己満足で悦に浸っている次第です。

なんかあればTwitter @putain_uni にどうぞ。俺程度が答えられることであれば、仏語差替え以外のことでもご助力できればと思います。

あー気持ちよかった。寝ます。おやすみなさい。